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黄金の相場学-相場に立ち向かう心得15ケ条

黄金の相場学2005~2010

若林栄四(わかばやし・えいし)

相場に立ち向かう心得15ケ条

第1条 上がると思ったら買い、下がると思ったら売る

極めて基本的なことであり、当たり前だとおっしゃる方もいるかと思う。しかし、言うは易しで、これがなかなか難しい。多くの人は上がると思っていたとしても、「ひょっとしたら、もう少し下がるかな。もうちょっと下がったところで買おう」などと考えがちだ。

ところが、実際に下がると、今度は怖くて買えないというジレンマに陥る。そして、買えないうちに元に戻って上昇してしまう。だから、上がると思った時点で、多少の下落には目をつむって買うこと。複雑なことは考えてはいけない。これができるだけで、相場は8割方成功するものだ。

第2条 遇者は雷同する

言うまでもなく、人にくっついて行ったところで、大きく儲かるものではない。本当に儲けるためには、自分自身のアイデアで勝負しなければならない。

第3条 相場は恐怖と欲望のゲームである

そのなかでは、いかに自分の欲望をコントロールするかがポイントになる。それとともに、相場の恐怖は二つの種類があることも、理解しておくこといいだろう。ひとつはエモーショナルな相場に立ち向かい損失を被る恐怖であり、もうひとつは儲け損なう恐怖である。
エモーショナルな相場とは、たとえば経済指標で市場の予想を覆す内容が出た、あるいは株式であれば、新商品が出たといったサプライズに乗って、一気に動いていく相場のことである。
2004年9月から10月にかけての原油相場もエモーショナルな相場の典型である。新聞には連日のように新高値更新の記事が出る、典型的な相場の終りの兆候である。
このような相場に対しては、正直、恐怖感を覚えるかもしれないが、小さく逆張りをする。どんどん上昇しているのであれば、売りに回るのである。当然、ポジションを取った当初は、どんどん損失が膨らんでいくためそれはもう恐怖との戦いになる。が、上手くいけば、大きく儲かるチャンスにも恵まれる。
一方、儲け損なう恐怖で乗った相場は、自分自身がそいう相場に乗っているのだということを、重々認識するべきである。「この相場、逃がすんじゃないか」という気持ちで乗った相場は、だいたいが一つの方向に大きく動いている時であり、そこで乗るということは、自分自身が多数派に属することになる。
相場はマジョリティに属しては大きく勝つことができず、やはりマイノリティであることが、大きく儲けるためのコツだ。
このように相場は怖い思いをしなければ儲からないようにできている。自分が買っているものが値下がりしている間は、損失がさらに拡大するのではないかという恐怖に悩まされる。そのため、下がったものが買値まで戻ってくると、そこでやれやれとばかりに売ってしまう。“やれやれ売り”と呼ばれるものだ。しかし、ここで一言、この言葉を贈る。

第4条 買値まで戻ってくるような相場は、99%さらに値上がりする

買値に戻ったからといって“やれやれ売り”をしてしまうと、儲けのチャンスをみすみす逃がすことになる。これからいい目を見ることができるのに、そこで止めてしまっては、何のために怖い思いをしてきたのかがわからない。本当に利益を上げられる人は、買値まで戻ってきた時点で、さらに買い増しをしていくものである。

第5条 皆が儲かる相場はどこかがおかしい

基本的に相場は難しいものであり、儲けることができるのは、少数の人のみである。そうであるにかかわらず、バブルピークの日本株のように、それこそ誰が株式を買っても儲かったという状況は、どこか、何かがおかしいのである。

第6条 相場は相手を追い込むように動く

人間は、本当に追い込まれるまではアクションを取らないもの。特に、損切りしなければならないような、嫌な状況下ではなおのことだ。でも、そこできちっとアクションを起こさないと、相場はさらに相手を追い込むように動いていく。
自分の取った行動は間違っているとわかっていても、そこで意地になる人が必ずいる。間違ってしまったと自分じしんではわかっているはず。そもそも、自分の取った行動が間違っているかどうかもわからないようでは、最初から相場をやってはいけないのだ。
相場に「すみません。私が間違っていました。ごめんなさい」と頭を下げなければならない。頭を下げるということは、負けを認めて損を出すことである。
たとえばその人が、10万ドル勝ったとする。さらにその後で相場を張って、今度は負け相場になったとしよう。この間10万ドル勝ったから、5万ドルまでは負けてもいいかと考える。こうして5万ドル負ける。
この時点で時点で止めておけばいいのに、「それでもまあ、5万ドル利益が残っているのだから、負けのトータルが10万ドルになるまでは頑張ってみよう」などと考えだすようになる。ここから、発想がおかしくなってくる。というのも、単にこの間、儲けた10万ドルがあるから強気になっているだけのことで、相場には負けているからだ。
そして10万ドルまるまる負けてしまう。本来なら、そこで止めて止めても手遅れなのに、今度は「もうちょっとやってみよう。前回、10万ドル儲けられたのだから、5万ドルくらいの損が出ても取り返すことはできる」などと考えるようになる。結局、せっかく儲けた10万ドルをすってしまうだけでなく、さらに5万ドルの損失を被ってしまう。
こうなると、もう意地の張り合いである。5万ドルの損失が10万ドル、20万ドルと拡大して、さすがにこれ以上負けたら会社が潰れるとか、自分がクビになるかもしれないというところまで追い詰められる。でも「あと10万ドルまで我慢してみよう。その間に相場が反転するかもしれない」と、根拠のない期待感を抱くようになる。
そうすると必ず、相場は一段と追い込んでくる。そして最後には降参と両手を挙げて、損切りをすることになる。そこまで傷口を広げるくらいなら、最初から早めに損切りすればいいだけのはなしである。

第7条 すべての戦闘に勝とうと思ってはいけない

相場は戦争である。戦争と戦闘をはきちがえてはいけない。すべての戦闘に勝とうと思わず、ダメだと思う戦闘からはすばやく撤退する。つまり、損切りを早めに行うことにより致命的な打撃を被ることを回避し、戦争が継続できる状態を維持することが大事である。
つまり、勝ったり負けたりしながら最終的には勝つというのが相場であり戦争である。

第8条 ナンピンは禁物

相場で大きな損を出した人の多くは、大抵、ナンピンで失敗している。ナンピンとは、たとえば1ドル=110円でドルを買い、その後円高ドル安が進んで損失が生じたときに、さらに1ドル=105円、あるいは、1ドル=100円というように、ドルを買い増ししていくことである。1ドル=110円でドルを買い、その後、1ドル=105円でドルを買えば、1ドル=107円50銭までドルが戻った場合、その時点でトントンにすることができる。
つまりナンピンとは、買値や売値を平均化して、損失額を少なくすることだが、大相場でこれをやると身の破滅につながることが多い。相場の基本は、相場で損失が出た場合にはリスクを小さくする、すなわち持ち高を縮小させることにあるが、ナンピンは損が出るにしたがって持ち高を大きくしリスクを拡大させるという、まったく非合理的な相場行動であり、小局面で成功することはあっても大局面では身の破滅である。
ナンピンした後、思惑通りに戻ればいいが、ドル安が進んだら、損失がさらに拡大するだけである。したがって、ナンピン買い下がり、ナンピン売り上がりという行為は、絶対にしてはいけない。それよりも損切りによって損を小さくすることが大事である。
もうひとつナンピンの問題点は、相場に対する謙虚さがないということである。間違えた相場に、さらにいっそう固執することは相場に対する敬意を決定的に欠いている。謙虚さに欠ける者は相場に罰せられることになる。

第9条 複雑に考えず、単純思考で行かなければならない

ともすれば難しく考えがちな相場ではあるが、結局、相場は極めて単純なものである。上がるか下がるか、売るか買うか。これしかない。だから、比較的ビギナーが儲かる。ビギナーズラックがる。
ところが、儲かるようになると、相場が面白くなるので勉強しようとする。株でもっと儲けよう、為替でもっと儲けよう。儲けるためにはもっともっと勉強しなければならない。そして非常に複雑なことを考えるようになる。日本経済のことを勉強し、日本銀行が公定歩合を上げる、下げる。経常収支がどうなる。少子高齢化が経済に与える影響はどうだ、などなど。
しかし、世の中を複雑に考えれば考えるほど、相場の世界では失敗することが多い。要は、いろいろな材料に振り回されてしまい、相場の本質を見失ってしまうのだ。
相場はしょせん上がるか下がるかしかないし、儲かるか損をするしかない。非常に単純なものだから、それを複雑に考えたら、やられるに決まっているのである。

第10条 少数派に身を置け

相場が本当に行く時というのは、全部損切りの力である。損切りの時が最も相場が走る。損切りというのは恐怖から逃げることだから、いくらで売れるかなんてことはもう関係なくなっている。
とにかく、自分が投資をしているものを売って逃げたいという意識だけで行動する。そこに、相場を大きく動かすだけの、ものすごいエネルギーが出てくる。それも、損切りする側が多数派であればあるほど、相場は極めて早いスピードでもって、大きく動く。
逆の見方をすると、多数派に身を置いている限り、儲かる方向に相場が動いたとしても、その動きは極めてスローになる。儲かる時はスローで、損をする時は猛烈なスピードで動く。割に合わないのである。
しかし、少数派に身を置けば、儲かる時は物凄いスピードで儲かり、損をする時はちまちまとしか損しない。相場の原則は、小さく損をして大きく儲けることだから、例外もあるが基本的には常に少数派にいなければならない。ただ、少数派でいることに耐えられるだけの度胸を持っているかどうかが肝心だ。
また、少数派でいる場合の持ち高は最初小さめにキープし、利が乗り出してから利乗せで持ち高を拡大するのが基本である。

第11条 材料は相場とはほとんど関係ない

中期的なファンダメンタルズ、この材料は大事だが、それ以外の、毎日出てくるような材料は、無視するくらいでいい。

新聞などでは、発表された経済指標の内容などが、あたかもマーケットを動かしたかのように書くが、同じ材料が出たとしても、相場が行きたがらない時は、全く反応しないものである。そういう時、マスコミがどう言うかというと、「折り込み済みでした」という一言だけである。

昔の例で言うと、たとえば湾岸戦争の時、実際に戦争が起こったら、円は急騰、株価は暴騰で、すべてが逆の方向に動いた。

どんな材料が出ても、相場が行きたくない時には、むしろ逆の方向に行くこともある。材料に相場が反応するのではなく、相場が行きたがっている方向に見合う材料が出てくるだけの話なのだ。

第12条 皆が絶対だと思っている時は動かない

大きな相場の転換点には、多分に動物的ではあるが、いくつかの兆候を見ることができる。
それは、たとえば絶対にそんなことはないと言っていた人が、ドルはやっぱり上がると言いだすとか、毎日の出来高が異常に膨らんでくるとか、値動きが荒っぽくなるとか、あるいは今までドルを一生懸命に売っていた人が、それを買い戻して、今度はドル買いに転じるなど。相場を冷静に見ていると、こういった兆候が随所に見られる。
加えて、皆が「もう絶対にこの相場は行く」などと、買い安心感や売り安心感を抱き始めたら危ない。突然、まったく関係のない材料が出てきて、やられてしまうことが、往々にしてあるのだ。

第13条 あの時やっていたら・・・・・・は禁句

何々していたら、何々していれば・・・・・・などと、後になって言ったところで、儲けることはできない。それは誰にでも言えることなのだ。思っただけで、実際に行動しなければ、利益をえることはできない。そう思ったとおりにできる(エクセキューション)能力、そのアイデアを行動に移せる能力が、相場にはとても大事なのである。相場は言いわけでなくエクセキューションである。

第14条 モメンタムが大事

モメンタムとは「勢い」のことである。円高にせよ円安にせよ、あるいは株高にせよ株安にせよ、相場には勢いというものがある。
多くの人は、このくらいの価格のレベルなら、そろそろいいんじゃないかなどと、相場のレベルで物事を見てしまいがちだが、モメンタムが尽きていなければ、さらに相場は先へと進む。自分が考える買値、売値に近づいてきたとしても、モメンタムがあるうちは、逆の行動を取ってはいけない。

第15条 重要な意思決定は夜やってはならない

そもそも人間は夜、寝るようにできている。したがって、重要な意思決定は、夜にやらない方がいい。これは、生物としての人間の在り方で、経験則的にもあてはまることだ。
夜は一般的にもまわりが暗いので、どうしても物事の考え方が悲観的になりがちである。相場の意思決定を行ううえで、物事の見方が悲観的になりがちな夜は避けた方が無難だろう。

相場の心得には、まだ他にもいろいろあるが、経済学の知識だけを身につけてもダメだということを理解することが、相場で勝つために大事である。

(引用:黄金の相場学2005~2010 )

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